食糧問題・食料問題

〜100億人分の食糧をまかなえる世界で
 なぜ8億の人が飢えるのか〜

● 工業農業にまつわる7つの神話

Fatal Harvest: The Tragedy of Industrial Agriculture (破壊的な収穫〜工業農業の悲劇)』より。

fatal = 致命的な、破滅的な、死の

工業農業の神話1 「工業農業が世界人口を養う」
真実:
世界の飢餓問題は食糧の不足が原因ではなく、貧困と農地喪失によって食べ物を入手できないことが原因だ。農業生産のコストを高め、多数の農民を農地から立ち退かせ、輸出用の高価な農産物や贅沢品を生産するため、工業農業を促進することは飢餓を増大する。

工業農業の神話2 「近代的な農業・食品産業が生産する食料は安全で健康的で栄養価が高い」
真実:
工業農業は私たちが食べる野菜や果物を農薬で汚染し、危険なバクテリアをレタスに忍び込ませ、私たちが飲む牛乳に遺伝子操作した成長ホルモンを入れている。今日、ガンや食物原因の病気や肥満が今までになく増発しているのは不思議ではない。

工業農業の神話 3 「工業農業は食料を安く提供してくれる(有機食品は高い)」
真実:
現在スーパーなどで販売されている食品の値段に、工業食品の真の生産コストー健康的・環境的・社会的なコストーを加算すれば、金持ちも買えないほど高額になる。

工業農業の神話4 「工業農業の方が効率的だ(生産性が高い)」
真実:
小規模な農場の方が大規模農場より面積当たり多くの農産物を生産する。さらに、より大規模な単作農場は、より多くの農業機械と化学物質の投入を必要とする。機械と化学資材のこの膨大な投入は環境を破壊し、大規模農場を小さなより持続可能な農場より非効率にする。

工業農業の神話5 「アグリビジネスはより豊かな食の選択肢を提供する」
真実:
スーパーの品揃えを見るとバラエティー豊かな食生活の幻想をいだく。しかし、食品の表示ラベルはどの農薬が使われたか、どの原材料が遺伝子操作されているかを充分伝えてくれない。さらに豊かな食材の幻想は、工業農業が農作物の生物多様性を破壊している悲劇を覆い隠してしまう。

工業農業の神話6 「工業農業は環境と野生生物を保護する」
真実:
工業農業は地球上の生物多様性に対する単独では最大の脅威である。大規模に囲った農場の隅から隅まで耕し、単一の作物を植え、収穫する行為が野生生物の生息地を破壊し、工業農業が使う大量の化学物質が土や水を汚染して膨大な植物と動物を殺している。

工業農業の神話7 「バイオテクノロジーが工業農業の問題を解決する」
真実:
新しいバイオテク作物は工業農業の問題を解決しない。むしろ問題を深刻化し、世界の食糧供給の決定権をごく少数の大企業の手にゆだねてしまう。バイオテクノロジーは生物多様性と食糧安全保障を破壊し、自作農民をますます農地から追い払うことになる。

ーーー それでも「世界の人が飢えているから」工業農業による増産と自由貿易を促進するべきなのでしょうか? ーーー

出典:
『Fatal Harvest - The Tragedy of Industrial Agriculture (破壊的な収穫〜工業農業の悲劇)』本の紹介サイト
http://www.fatalharvest.org/

目次
http://www.fatalharvest.org/toc.pdf

Fatal Harvest: The Tragedy of Industrial Agriculture
Andrew Kimbrell(編集)  Island Press 2002年。ISBN-10: 1559639407
250点以上の写真を併せたハードカバー完全版。英語

The Fatal Harvest Reader: The Tragedy of Industrial Agriculture
Andrew Kimbrell (編集)  Island Press 2002年。ISBN-10: 155963944X
文章のみを収録したソフトカバー版。英語

※鋭い警告を発しているこの本は未だに日本語になっていません。邦訳出版をご検討いただける出版社の方はご連絡ください(平賀緑midori@journeytoforever.org)。



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